- 外れやすい・噛めない入れ歯にお悩みの方へ
- インプラントオーバーデンチャーとは
- このような方におすすめ
- インプラントオーバーデンチャーのメリット・デメリット
- 留め具(アタッチメント)の種類
- お手入れについて
外れやすい・噛めない入れ歯にお悩みの方へ
「入れ歯でもっとしっかり噛めたらいい」「使っているとすぐに外れてしまう」など、入れ歯に関する悩みを抱えている方は少なくありません。毎日使うものに違和感やストレスを感じる状態が続くと、食事の楽しみや会話のしやすさが損なわれ、生活の質(QOL)にも影響を与えてしまいます。
こうした悩みに応える治療法として注目されているのが、インプラントオーバーデンチャーです。
インプラントオーバーデンチャーは、「噛む力が向上する」「見た目が自然」「装着感が安定する」といった点で、一般的な入れ歯よりも高い機能性を備えています。
インプラントオーバーデンチャーとは
総入れ歯の不快感を解消するインプラント治療
インプラントオーバーデンチャーは、顎の骨に2〜4本程度のインプラントを埋め込み、その上に入れ歯を固定する治療法です。「オーバーデンチャー」や「アタッチメント義歯」とも呼ばれ、総入れ歯だけでなく部分入れ歯にも応用できます。
従来の入れ歯は、歯ぐきに吸着させたり、部分入れ歯では隣の歯にバネ(クラスプ)をかけて固定する方法が一般的でした。しかし、これらの方法では入れ歯がずれやすく、噛みにくさを感じることも少なくありません。安定剤で調整することもできますが、根本的な安定には限界があります。
インプラントオーバーデンチャーなら、顎骨にしっかりとインプラントを埋め込むことで、入れ歯全体を安定させることができ、ずれにくく、噛みやすい状態を実現できます。
このような方におすすめ
- 総入れ歯のぐらつきや外れやすさに不満がある方
- インプラントを希望しているが、費用をできるだけ抑えたい方
- 30代~50代で総入れ歯となり、今後の長期的な使用に不安がある方
- 硬いものを噛むことがつらく、しっかり噛める入れ歯を求めている方
- 入れ歯を気にせずに会話や食事をもっと快適に楽しみたい方
- 定期的なメンテナンスを継続して受けられる方
インプラントオーバーデンチャーのメリット・デメリット
インプラントオーバーデンチャーのメリット
治療費や身体的負担を軽減できる
通常のインプラント治療では、上顎全体を補う場合でも、7~8本程度のインプラントを埋入する必要があります。しかし、インプラントオーバーデンチャーであれば、同じ上顎全体の治療でも4~6本程度のインプラントで対応できることが多く、骨の硬い下顎ではさらに少ない本数で治療できる場合もあります。インプラントの本数を減らすことで、治療費や身体への負担を抑えながら、安定した入れ歯を実現できる点が大きなメリットです。
しっかり噛める
インプラントオーバーデンチャーは、チタン製のインプラント体を顎の骨に埋め込み、それを土台にして入れ歯を支える仕組みです。この構造により、従来の入れ歯に比べて噛む力が安定し、会話中や食事中に入れ歯がずれてしまうといった不安が軽減されます。
自然な口元を再現できる
部分入れ歯を使用する場合、通常はバネ(クラスプ)を隣の歯に引っかけて固定します。しかしこのバネは、口を開けたときに見えることがあり、見た目にコンプレックスを感じる方も少なくありません。インプラントオーバーデンチャーでは、インプラントで固定するためバネが不要です。自然な見た目を保ちながら、他の歯への負担も減らすことができます。
取り外しが可能
インプラントオーバーデンチャーの入れ歯は、患者様ご自身で着脱できる設計になっているため、従来の入れ歯と同じように日々のお手入れがしやすいのが特徴です。入れ歯を簡単に清掃できることで、口腔内を清潔に保ちやすく、インプラント周囲炎などのトラブルを予防することにもつながります。
骨量が少ない方にも適応できる可能性がある
通常のインプラント治療では、各歯の位置にインプラントを埋入するため、十分な骨の厚みと高さが求められます。骨量が足りない場合には、あらかじめ骨造成や骨移植が必要になることもありますが、インプラントオーバーデンチャーは、骨の厚みが十分にある場所を選んでインプラントを配置できるため、骨量が少ない方でも治療を受けられるケースがあります。
インプラントオーバーデンチャーのデメリット
残っている歯へのむし歯リスクに注意
インプラントオーバーデンチャーのうち、部分入れ歯タイプでは、健康な歯を支えに入れ歯を装着する場合があります。
このとき、装置の周囲に汚れが溜まりやすくなるため、残存歯がむし歯になるリスクが高まります。装置を外した際には、入れ歯そのものだけでなく、支えとなる歯もしっかりと清掃する必要があります。毎日のセルフケアに加え、定期的に歯科医院でプロフェッショナルケアを受けることが、残存歯を守るうえで重要です。
全ての方に適用できるわけではない
インプラントオーバーデンチャーは外科手術を伴う治療のため、心臓疾患や糖尿病などの全身疾患を抱えている方には適応できない場合があります。また、手術の前後には一定期間の禁煙が必要とされるため、喫煙を継続している方には他の治療方法をご提案するケースもあります。治療の可否については、事前のカウンセリングと精密検査を通じて慎重に判断されます。
自由診療のため費用が高くなる
インプラントオーバーデンチャーは、健康保険が適用されない自由診療に分類される治療です。そのため、保険適用の入れ歯に比べて費用は高額になります。ただし、確定申告で医療費控除を申請することで、支払った金額の一部が還付される場合があります。
お支払い方法や費用の詳細については、カウンセリング時に丁寧にご説明いたしますのでお気軽にご相談ください。
留め具(アタッチメント)の種類
インプラントオーバーデンチャーでは、入れ歯をしっかりと固定するために「アタッチメント」と呼ばれる留め具を使用します。アタッチメントにはいくつか種類があり、患者様のお口の状態や使い心地の好みに応じて、最適なものが選択されます。
ボールタイプ
ボールタイプは、インプラントの先端にボール状の突起を取り付け、そのボールを入れ歯側の留め具でパチッとはめ込んで固定する方式です。仕組みがシンプルで取り外しも容易なため、操作しやすいという特長があります。
バータイプ
バータイプは、複数のインプラントを横に渡すようにバーで連結し、そのバーを入れ歯側のクリップで挟み込む方式です。広い範囲で支えることができるため、非常に高い安定性が得られます。
磁石タイプ
磁石タイプは、インプラント側に金属、入れ歯側に磁石を組み込んで、磁力で留める方式です。装着や取り外しが非常に簡単で、手先の力が弱い高齢の方にも扱いやすいのがメリットです。
ロケータータイプ
ロケータータイプは、インプラントに装着するパーツの側面に溝があり、そこに入れ歯側の留め具を押し込むことでカチッと固定する仕組みです。着脱のしやすさと安定性のバランスに優れています。
お手入れについて
ご自宅でのケア
インプラントオーバーデンチャーは、入れ歯部分を取り外して洗える構造になっているため、日常的なお手入れも比較的簡単に行えます。装置の内側やインプラント周辺には汚れがたまりやすいため、毎日の歯磨きと併せて丁寧な清掃を心がけましょう。特に就寝前や食後は、ぬるま湯での洗浄ややわらかいブラシを使ったクリーニングがおすすめです。
定期メインテナンス
ご自身でのケアに加えて、歯科医院での定期的なメインテナンスも重要です。半年〜1年に1回を目安に検診を受け、インプラント体やアタッチメント部分の状態、歯ぐきの健康などを確認してもらいましょう。細かい部分のクリーニングや、装置の微調整もこのタイミングで行われるため、トラブルの予防にもつながります。